誤嚥性肺炎と食形態・とろみ

誤嚥を防ぐため、嚥下の機能評価を実施し、嚥下機能に合わせた嚥下がしやすい食形態が病院では提供される。嚥下機能の改善に合わせて食形態は普通のものに段階的に上げていくが、嚥下障害が残存する場合もある。そのような場合は、退院時には誤嚥しにくい食形態を退院後の食事でも可能な範囲で守っていただくことが必要となる。

嚥下調整食と呼ばれるものには、「ゼリー食」「ムース食」「ミキサー、ペースト食」「きざみ食」と段階的に呼ばれている。病院では、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が策定した嚥下調整食分類2021が参考にされることが多い。普通食の中でも、一口が大きい人などには一口の大きさに切った「一口大」などの工夫がされることがある。

食形態のみではなく、水分に関しても調整がされる。それが「とろみ」である。サラッとした液体はのどを流れるスピードが速く、むせやすい。とろみをつけることでのどをゆっくり流れるので飲み込みやすくなる。学会分類では、とろみが弱い順に「段階1:薄いとろみ」「段階2:中間のとろみ」「段階3:濃いとろみ」と表現されている。とろみのつけ方は飲み物にとろみ調整食品を入れ、かき混ぜて溶かしてから2~3分でとろみが安定する。とろみ調整食品の種類により各段階のとろみにするための分量が異なるため、使用量・使用方法は、医師、栄養士、言語聴覚士の指導に従っていただきたい。

入院中に、食形態やとろみの調整・変更が必要になった方に関しては、自宅に退院する前に言語聴覚士や看護師、栄養士を中心にご本人、ご家族に食事形態やとろみについて指導されることが多い。理学療法士が食事時の姿勢や車いす・クッションの使用方法などを指導するのと同じように、食事形態やとろみも指導をされた場合、その指導内容をしっかり守っていただきたい。これが退院後に誤嚥性肺炎を起こさない・繰り返さないために必要なことであると考えられる。

指導内容をしっかり守っていただいても、退院後の長い経過の中で、防げない体力や筋力、嚥下機能の低下があり得る。そうすると今までの食形態やとろみでも、むせこみや飲み込みにくさを本人が自覚したり、介助者が食事の介助時に観察することがあるだろう。その場合、そのむせこみや飲み込みにくさを見過ごさず、早めに医療関係者やケアマネージャー等に相談し、必要であれば、嚥下機能の評価と食形態やとろみの再調整をすることがよいだろう。医療では、早め早めの対処による予防が何より大切である。